新たな一歩

本来ならこの４月から大学3年生になるはずだった次女のゆか。
入りたかった先生のゼミは定員いっぱい、大学へのテンションもなかなか上がらず、１年休学することに。
そこで、兼ねてから希望していた東京ディズニーリゾートで１年間働くため、面接を受けたところ内定し、４月下旬から勤務することとなった。
そこで、たちまち決めないといけないのがアパート。次女は、ネットでアパートの情報を集めていた。

母「ゆか、お父さんに一緒に見てもらって」
次女「うん」
父「千葉最近地震多いから、海に近いところはやめとこう。液状化の心配もあるね。」
予算と地震のことを考えると候補は１件に絞られた。
次女「ゆかは、夜行バスで先に行ってるね」
父「じゃあ現地集合で」

その当日は、風が強く鉄道のダイヤが乱れていた。
最寄り駅まで行く同じ電車に一緒に乗り合わせるはずだったが

次女（LINEで）「あれ？この電車なんか違う方向に行ってる！」
父「直ぐ降りて！」

定時に出たのは、違う電車で、実際に乗るはずだった電車は３分遅れだったのだ。
結局、私だけ先にアパートに着き、内覧をさせてもらった。
そこはちょっと丘になっている静かな住宅エリアで梨の木が住宅地に広がる。
予定より大幅に遅れて次女が到着。
「何時間も前から近くまで来てたのに、路線を間違っちゃった」
やれやれ…。次女も内覧をする。
「思ったよりいい場所。部屋もちょうどいい。ここにしよう！」
初の一人暮らし。ゆかの新たな冒険が始まる。　　　　　　　　　　　　　　　　山本和志